The New Normal

モダンなQAに変わるには vol.2

Hiroyuki TAKAHASHI
8 min readSep 18, 2019

私は今年でソフトウェア業界に入って30年目になっちゃいました(時の流れ早すぎてコワイ)。ソフトウェア開発を取り巻く変化は激しく、荒波に揉まれ、流され沈み…それでもなんとかこの仕事を続けてこれました。それは、私がそれなりに変化に対応してこれたからだと思っています。

変化とは、ゲームのルールが変わるということ。
今までの常識が覆るということ。

ソフトウェアの開発とテストも例外ではなく、変わってしまったゲームルールに気がついていないメンバーが居るとすれば…それは由々しきことです。個人の成長思考を思い描くキッカケになればと願い、今この文章を書いています。

The New Normal

この10年の技術発展は目を見張るものがあります。

私がはじめてiPhone 3Gを手にしたのがちょうど10年ぐらい前。お世辞にも性能は良くなかったのでガラケーと2台持ちしていたぐらいでした。ところがCPUは高速になり、画面の解像度も高まりモバイルインフラが発展し、あれよあれよとガラケーは駆逐されました。PCで出来ることは一通りスマホで出来ますし、タスクもストレージもほとんどクラウドで完結してしまう世界に変わったのはみなさんも御存知の通りです。iPhone 11欲しいな…

さて、そんな変化の中ソフトウェア開発もテストも変わらないワケがない。ましてや、QAと言われる部門がそのままで良いはずがありません。

少し前に、TechWell Corporation(旧Software Quality Engineering)の副社長であるMichael D. Sowers氏はTechWellのフリーペーパーBetter Software 2017年秋号にて ‘The New Normal for Software Development and Testing’ という技術コラムを発表しました。

※上記URLを見るには登録が必要です。なお、Better Softwareは残念ながら2018年夏号で休刊となってます。そういえば日経SYSTEMSさんも休刊になるそうで…紙面に取り上げて頂いたことがあるので、悲しいです。

この ‘The New Normal for Software Development and Testing’ でMichael D. Sowers氏は、現代の顧客は当たり前のように速いペースの製品リリース高品質な製品リリースを期待しており、それに応えてきたソフトウェア開発とテストには

‘The New Normal’

「ニューノーマル: 新たな常態・常識」が生じていると述べています。このコラムの 各章は次のように書かれています。
(日本語訳のカッコは、本文を読んだ上で私が勝手に補足しました)

Characteristics of the New Normal
ニューノーマルの特徴

・Development and Testing are a Team Sport.
開発とテストはチームスポーツである
・Data and analytics are now playing an increasing role.
データと分析は現在、ますます重要な役割を果たしている
・TestDev thinking is pervasive.
TestDev思考(従来の役割を超えて開発とテストが協力する思考)は普及している
・Continuous everything means we automate everything.
すべてを継続するということは、すべてを自動化することを意味する
・Testing in production is a more frequent practice.
(テスト環境を作る方が複雑なので)本番環境でのテストはより頻繁に行われている
・Deeper skill sets are a requirement.
より深いスキルセットが必要である
・Automation is pervasive.
(特にテストの)自動化は普及している
・The whole team is accountable.
チーム全体に説明責任がある
・Near real-time measures and metrics are expected.
(BIツールを用いることで)ほぼリアルタイムの測定とメトリクスが可能になった
・The tolerance for risks may change.
(不具合はすぐ修正したり取り消すことができるので)リスクの許容度は変わる可能性がある

とても良くわかります。ソフトウェア開発を取り巻くテクノロジーの進歩がとても早い中、開発もテストもどんどん常識が覆っていますよね。

そんな中、我々ウイングアークのQAチームは、このThe New Normal’ を受け入れることが出来ているのでしょうか?

春の合宿

少しさかのぼること2019年4月。私たちは札幌で泊まり込みの合宿を実施しました。

合宿風景

色んなワークとディスカッションをしたのですが、私はこの合宿の仕上げにメンバー全員に問いました。組織目標となりえる、みんなが取り組める施策は何か?と。チームディスカッションを経てメンバーが導き出してくれたものは次の5つでした。

「組織目標」につながる5つのキーワード

1.テスト自動化

2.(人的)連携の強化

3.QAブランディング(QAをもっと知ってもらう)

4.可視化

5.主体的に動けるチーム作り

なかなかセンスの良いキーワードが並びます。

この時点では、私が立てた部門目標はみんなにはまだ伏せていました。ところがなんと、目標に含まれるキーワードがメンバーから出てきたのです。

とても嬉しく思うと共に、うちのメンバーはやってくれると確信しました。なぜなら、The New Normal’の特徴に関連するキーワードがきちんと頭の中にあるのですから!

さらに、みんなにはこの5つのキーワードに関連したアクションアイテムを考えて宣言をしてもらいました。

ユーザーストーリーで書きます

エンジニアですから、フォーマットは当然「ユーザーストーリー」です。もちろん、ストーリーの受入基準=Acceptance Criteria も定義します。得意ですよね?QAエンジニアですもの。

メンバー全員のアクション宣言は以下の通りです。

名前はモザイクかけといたよ!

やってみると、個性はあるものの各自素晴らしいアクションアイテムを宣言してくれました。いくつかピックアップしてみましょう。

QAエンジニアとして主体的に動けるようになりたい。
なぜなら、継続的に成長するチームを作るためだ。

SPA(※製品名)のQA担当としてオンプレ・クラウドの垣根をなくしたい。
なぜなら、チームとして連携して動けるようになりたいから。

QAエンジニアとしてテストを自動化したい。
なぜならデグレ防止や同じテストの繰り返しを簡略化するためだ。

QAアナリストとして製品・開発の状況を可視化したい。
それはQA戦略を立てるためだ。

QAとして、他の製品チームとの連携を強化したい。
それは品質保証部門として結束力を高め、より良い品質にしていく基盤を作るためだ。

この宣言から半年経ちましたが、こうやって改めて見直すとメンバーそれぞれが、目標めざしてアクションしてくれていることがわかります。さすがです。

ウイングアークのQAメンバーは、みんなポテンシャルが高い!

私たちは、‘The New Normal’ を受け入れたQAチームになるために、もっともっと成長できるのではないかとワクワクしています。

では、今日はこの辺で…

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Hiroyuki TAKAHASHI
Hiroyuki TAKAHASHI

Written by Hiroyuki TAKAHASHI

ファインディ(Findy) Software Engineer, SPI Coach, Agile Coach, Certified Scrum Professional® — Product Owner, Certified Scrum Professional® — ScrumMaster

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